ミカンの木から卵を採取できたなら,卵を孵化させ飼育を開始しましょう。産卵されてから5日ほどで幼虫がかえります。
飼育環境の作り方についつは,過去記事をご覧ください。ここでは,卵を採取したり,孵 幼虫を孵化させるまでのノウハウをご紹介します。
枝ごと卵を持って帰るのが安全
卵の採取法は,以下の3つが考えられます。
- 卵がついている枝ごと切り取って持ち帰る。
- 卵がついている葉を切り取って持ち帰る。
- 卵のみを取り外して持ち帰る。
採取数が少ないのであれば,1の枝ごとが安全です。数枚の葉と枝をまとめて採取し,それを前述の記事「 幼虫の餌を準備する(ミカン葉の場合)」の要領で設置し,そのまま枝を餌にしてしまえばいいです。
2の葉だけをちぎって持って帰る場合は,餌用に用意しておいた枝やヘンルーダに移らせる必要があります。卵だけを移すのは非常に大変なので,孵化後に餌の方へ移動できるようにしておきましょう。餌用のミカン枝やヘンルーダの上にその葉を乗せておくといいです。そうしておけば,食べられる葉を自分で見つけて移動してくれます。
卵を葉から外すテクニック
卵はゼラチン質で葉と接着されていて,それを剥がしてやるとコロンと取れます。しかし,迂闊に外すと転げ落ちたり,飛んでいってしまう恐れがあります。卵はとても小さいので,落とすと見つけるのはなかなか大変です。
飛ばさず落とさずに取るには,葉と卵を親指と人差指で同時にはさみ,指をスライドさせて取るといいです。卵を葉から指へ転がし,そのままつまんで持ちます(右図)。卵は意外と硬いです。指の間でコロコロ転がしても問題ありません。
もし卵を落としてしまった時は,セロハンテープの粘着面を軽く卵に当てて,くっつけて取るといいです。卵はとても小さいので,指で取るのは大変です。
外した卵は袋に入れて孵化させよう
外した卵は,小さな透明な袋に入れておきます。孵化が近くなると卵が黒ずんできて,よく見ると中で幼虫が動いているのが見えるかもしれません。小袋の中で幼虫が殻を破って出てきたら,その小袋を餌の葉に被せておきます。すると,幼虫は自力で葉に移動します。産まれて1日2日は,幼虫は卵の養分を蓄えているので餌なしでも生きられますが,なるべく早めに葉に移してあげましょう。
注意として,袋を2日3日とつけっぱなしにはしないで下さい。葉からは水蒸気が盛んに蒸発しています(蒸散)ので,つけっぱなしにしておくと水がたまり,卵や幼虫が水に浸かってしまいます。
ちなみに私の場合,飼っているアゲハが産んだ卵はすべて葉から外し,小瓶にいれて保管しています。ビンの中で孵化したら,竹串で1匹1匹拾い上げて葉に移しています。
卵から育てたアゲハには愛着がとても湧きます。挑戦してみて下さい。